Yahoo! JAPANを中心としたさまざまなサイトの検索結果ページやコンテンツページにクリック課金型の広告を掲載できる広告配信サービス、それがヤフー株式会社が運営する「Yahoo!リスティング広告」です。アフィリエイト歴が長い方々にとっては、Overture(オーバーチュア)という名前で覚えている方も少なくないかもしれません。
Yahoo!リスティング広告には、大きく分けて検索連動型広告の「スポンサードサーチ(R)」と、興味関心連動型広告「インタレストマッチ(R)」の2種類があり、各々のサービス単体はもちろん、組み合わせて利用することでサイトへの誘導や商品やサービスの知名度アップ、新規顧客の開拓などにつなげることが可能です。 2002年に日本でサービス開始されたスポンサードサーチは、2010年現在Yahoo!JAPAN以外に楽天Infoseekやbing、excite、AllAboutなど国内の主要大手検索サイトに検索連動型広告を掲載できるサービスとして広告主やもちろん、アフィリエイターからの人気も高いサービスです。 |
Yahoo!リスティング広告の小澤氏 |
検索連動型広告と興味関心連動型広告という2つの面でサイトへの集客サポートを行ってくれるクリック課金広告のYahoo!リスティング広告。今回アフィリエイトSOGO.COM編集部では、Yahoo!リスティング広告のサービスをより深く知るため、ヤフー株式会社の小澤さんに突撃インタビュー取材を実施させて頂きました。
インタビューを通じて、Yahoo!リスティング広告の特徴や広告主・アフィリエイターに向けた利用のコツ、そしてこれからの展開等、たっぷり語っていただきました。ぜひYahoo!リスティング広告特別インタビューを最後までご覧ください。アフィリエイターの方はもちろん、広告主側でWEBマーケティングを担当されている方にとっても役立つ内容だと思います。
Yahoo!リスティング広告・インタビュー -集客の最短距離-
KASAI(以下K): ---お忙しい所、インタビュー取材のお時間取って頂き誠にありがとうございます。本日はよろしくお願い致します。
ヤフー小澤様(以下、小澤): こちらこそよろしくお願い致します。
K: ---それではさっそくではありますが、Yahoo!リスティング広告の概要についてお聞かせ頂けますでしょうか。
小澤: Yahoo!リスティング広告には大きく分けて2つのサービスがあります。まず一つがスポンサードサーチです。このサービスは2002年に日本でサービスを開始して8年になる、検索連動型広告と言われているサービスです。もう一つのサービスは2009年にオンライン上で申し込みを開始したインタレストマッチ、興味関心連動型といわれているものです。
検索連動型広告は、通称PPC(PayPerClick)だとか、リスティング広告だとか、クリック型課金広告などと呼ばれているもので、その言葉が表すとおりインターネットユーザーがYahoo!JAPANなどの検索エンジンで検索ボックスに入れて頂いたキーワードに関連する広告を、検索結果画面に表示する広告サービスになります。
K: ---アフィリエイト業界でもリスティング広告(PPC)を利用されている広告主やアフィリエイターは少なくありません。ただ初心者の方の中には、そもそもリスティング広告(PPC)の流れが分からないという方もいるようです。簡単にその点をご説明頂けますか?
小澤: はい。Yahoo!リスティング広告の流れですが、まず検索連動型広告の「スポンサードサーチ(R)」では、ネットユーザーが検索されたキーワードに関連した広告を、アフィリエイターさんや広告主さんが検索結果画面に広告文言を自分たちで決めて出稿頂く事ができます。そしてその広告を見たインターネットユーザーが、自分に興味のありそうな広告だという事でクリックされた段階で課金される仕組みになっています。
日本でも最も多く見られていると言われているヤフージャパンの検索結果画面に広告が表示できるのがやはり大きな強みでもあります。例えるのであれば、銀座の一等地にご自身の店舗を構えるという事と同じと言えるのではないかと思います。インターネットユーザーによってはヤフーだけでなく他の検索サイトもお使いになられていると思うのですが、ヤフーが提携している他の検索サイトでも表示されるので、ヤフー以外でご利用いただいているお客様にもスポンサードサーチの広告を掲載できるメリットがあります。
K: ---ヤフー以外だとちなみにどのような検索エンジンに広告が掲載できるのでしょうか?
小澤: エキサイトさんや楽天インフォシークさん、mixiさんなど多数のメディア様と提携させて頂いております。特に特殊なサイトではなく、日頃みなさんが検索以外の場面でもよく見られるようなサイトですので、Yahoo!リスティング広告を利用頂く事で広範囲のインターネットユーザーに幅広くリーチ出来るサービスだと思っています。
K: ---なるほど。幅広いお客様が集まっているところに、ピンポイントで自分が呼び込みたいお客様をキーワードで絞り込む事もできますね。 小澤: そうですね。検索連動型広告というのは、大多数の方々に大きくアピールすることもできれば、逆にキーワードや広告文を絞り込むことで対象をピンポイントで集客する事も可能です。最終的にやはり広告を出される方々が、ご自身のサイトで商売・商品・何を実現させたいかによって、いろいろとキーワード選びや広告の表現の仕方などが変わってきます。検索連動型広告は、お客様の目的に応じていろいろと変更できるといった所も特徴の一つになります。 |
小澤氏「利用者の目的に応じた集客ができます」 |
K: ---検索連動型広告の「スポンサードサーチ」ともう1つ、「インタレストマッチ」というのはどういったサービスになるのでしょうか。
小澤: インタレストマッチはその名称の通り、“興味関心連動型広告”と言います。こちらはスポンサードサーチのように直接の検索キーワードを軸にしたものではなく、インターネットユーザーが過去から現在に辿ってきた閲覧ページの履歴や、あるいは直近の検索されたキーワードなど、いろいろと加味した上で今時点で見ているページに、最適な広告を表示する広告配信サービスになります。
分かりやすく例を挙げると、「男性サラリーマン。一ヶ月ほど前にはサッカーに興味を持っていて、ヤフースポーツのサッカーの記事を読んでいた。2週間前には、もう一つの興味であるFXについてヤフーファイナンスを見ていた。そして、2日前突然出張に行くよう言われ、宿やフライトを予約しないといけないので、旅行サイトを見ていた。そして今現在、Yahoo!ニュースのページを開いている」とします。
この方は過去にサッカーやFX、旅行のページを見ていますので、今現在見ているニュースのページのインタレストマッチ広告枠には、サッカー・FX・旅行にマッチした広告が出てくる仕組みです。つまり、過去に興味があったものですぐにアクションを起こせなかったもの、いわゆるユーザーの潜在的なニーズを顕在化に引き上げる効果があるサービスです。
K: ---ユーザー側にとっても思い出させてくれる役割もありますね。現在だけではなく、過去の情報も元になっているのは興味深いです。
小澤: インターネットのユーザーの行動としては、自分が欲しいものの情報をどういった形で辿るかというと、まず検索という行為をもって調べたりすると思うのですが、必ずしもそれがすぐに購買につながるとは限らなのです。だからこそ、いったん興味を示したものを上手く拾い上げる為の広告手段として、インタレストマッチは重要な役割を占めていると思います。
K: ---アフィリエイターやECサイトなど、Yahoo!リスティングに広告を出す側としては、スポンサードサーチとインタレストマッチのどちらかを選ぶのですか?それとも両方利用できるのでしょうか?
小澤: 実は2010年3月9日に利用方法が変わりまして、それまではスポンサードサーチとインタレストマッチは別々に申込が必要だったのですが、今現在はヤフーリスティング広告に申し込む事で両方のサービスを利用頂けるようになっています、ヤフーリスティング広告にお申し込みいただくと、スポンサードサーチ・インタレストマッチのアカウントが管理画面にそれぞれ一つずつ作成されます。
ただ、作成されたからといってお金がかかるという仕組みではありません。作成されたアカウントごとに、出稿されたい広告ですとか、それに関するキーワードや広告文言を管理画面で入稿していただいた上で、最終的に予算に応じた金額を入金していただいて、はじめて広告を利用して頂けるという仕組みです。
K: ---登録の手間がかからず、スポンサードサーチとインタレストマッチの併用や、どちらか1つだけの利用を広告出稿側が選択できるという流れなんですね。正直な所、どちらのサービスの方がより効果的なんでしょうか?
小澤: スポンサードサーチとインタレストマッチは、それぞれ目的や対象が違った広告配信サービスになりますので、どちらが良いかというのは比較できないです。1つ情報共有させて頂くと、当社の独自調査によるものなのですが、実はインターネットユーザーがネット上でどれだけの時間、どういう行為に時間を割いているのか調べてみたところ、大多数の方々が「閲覧」という行為で過ごされている、というデータ結果が出ています。
では、残りの時間は何をしているのかというと、「検索」という行為をされております。数字で表すのであれば、検索は1割、閲覧が9割といった感じです。Yahoo!リスティング広告の切り口で言うと、検索でピンポイントかつ顕在化されたニーズに大して発信するダイレクトな広告としてスポンサードサーチをお使い頂き、そして閲覧しているユーザー向けに効率良く訴求するためにインタレストマッチをご活用頂く、という併用がベストだと感じております。
いきなり2つ利用するのは難しいという方もいらっしゃるかと思いますので、まずはスポンサードサーチをお使いいただいて、顕在化されたニーズにダイレクトな広告を出して、集客を図っていただき、さらにその集客の幅を広げるためにインタレストマッチを併用していただく。という流れであれば、より大きな集客を確保頂けるのではないかと思います。
K: ---検索1:閲覧9というのは確かに自分の利用状況を見てもあてはまります。では視点を変えて、現在Yahoo!リスティング広告を利用されている方々向けに、アドバイスやヒントがあったら教えていただけませんでしょうか?
小澤: 既存のお客様で誤った使い方といいますか、もうちょっと改善できるというポイントがいくつかあります。一つはキーワードの選び方です。検索連動型の広告だと、やはりキーワードが軸になってくるので、キーワードの選び方には十分気をつけて頂きたいと思います。商材を取り扱われている広告主さんが、どういった目的で広告を出稿しているのか、それに応じてキーワードというものは大きく変わってくるはずです。
当然、ご商売されている以上は最終的に商品を買っていただきたい、サービスに申し込んでもらいたいという目的があると思いますが、ホームページを立ち上げたばっかりだという場合は、なかなかすぐにはゴールにたどり着けないと思います。なので、まずはサイトを知ってもらうために、購買や申込の前段階、認知度アップのためにリスティング広告をご活用頂けると思います。
購買か認知度アップかで、キーワード選びもずいぶんと変わってきます。認知度アップのためには、ビックキーワードやミドルキーワードのように、よく検索されるキーワードを中心に入稿していただく必要があります。また、ある程度サイトの認知度があるんだけど、なかなか購買に結びつかないというケースであれば、ミドルキーワードやスモールキーワードのように、ユーザーのニーズにピンポイントで応えられるキーワードを中心に入稿頂くのが良いかと思います。
アフィリエイターの方にも、ECサイトの方にも、リスティング広告を利用される場合はやはりまず原点に立ち戻っていただいて、「そのサイトで何を実現したいのか」をしっかりと考えて頂いた上で、スポンサードサーチやインタレストマッチを利用頂きたいと思います。
K: ---確かに目的意識もなくただやみくもに広告出稿するのは、予算だけかかって効果は低いかもしれませんね。キーワード選び以外でのアドバイスはありますでしょうか。
小澤: キーワード以外のポイントとしては、どのような広告手段だったとしても最終的にユーザーがたどり着くのは広告を出されている方のサイトになります。ヤフーリスティング広告が提供できるサービス範囲というのは、お客様を効率的かつ効果的に誘導する、という所までです。やはり、そこから最終的な目標である商品購入やサービス申込は、サイトの作り方が大きなポイントになると思います。 いくら良いキーワードを選んでいただいて、キャッチーな広告文言を作っていただいて、実際にサイトに集客されたとしても、ユーザーが訪問した途端、このサイトはどこから商品を購入するのか?などの迷いを起こさせるサイト構成ですと、最終的な目的には到達しにくいと思います。今一度、インターネットユーザーの立場に立ったサイト作りというものを心掛けていただきたいと思います。 |
ヤフー株式会社のオフィス前にて撮影 |
K: ---ユーザー視点に立った媒体作成、アフィリエイト成果を上げる上でも大変重要なポイントです。それでは、これから先どういった方向でYahoo!リスティング広告は進化していくのか、そのあたりをぜひ教えていただけますか。
小澤: Yahoo!リスティング広告は日本でサービス開始させて頂いて今年で8年目に突入しているわけですが、8年という長い年月の中でも利用頂いている方は大企業様や代理店様経由で申し込み頂いた方が多く、中小企業の皆さまや個人の方々に対して敷居の高いサービスになってしまっているのではと思っております。
そこで、今後はより中小企業様や個人のお客様、そして地方のお客様に使って頂けるよう、サービス改善を図っていきます。特に地方で実店舗を持たれていて、初めてインターネットでお店をやられる場合には、Yahoo!リスティング広告は非常に有効的な集客手段になれると思います。
K: ---中小企業や個人、地方ユーザーの開拓は大切だと思います。ただ、ネット広告のサービスというのはなかなか初心者には分かりづらかったりすると思います。分からないから使えないという方には、どういったアプローチをされますでしょうか。
小澤: Yahoo!リスティング広告には、初期設定アシストプランという、広告作成サービスというものがあるんです。申し込みをした際に使っていただけるのはもちろんのこと、お申し込みして頂いた後、実際に運用されていく上で何か新しい商材を追加されたりだとか、サービスを追加された際、新たに広告又はキーワードを作らないといけないといった際にご利用頂ける支援サービスです。
ですので、使い方が分からない方はもちろん、利用していくうちに困った時など、いつでもアシストプランをご利用いただく事が可能です。このアシストプランですが、以前はスポンサードサーチにしか対応していなかったのですが、現在はスポンサードサーチ・スポンサードサーチモバイル・インタレストマッチ・インタレストマッチモバイルの全4サービス向けにご利用いただけるようになっています。
広告予算がある程度取れるけれどリスティング広告の活用方法が分からないとお悩みの方は、最大で4つのサービスごとにキーワードをご提案させていただけますので、困ったとき、時間がないときなど、こちらのアシストサービスを積極的にご利用いただければ、スムーズな広告掲載が出来るというメリットがございます。
K: ---支援サービスがあるのはユーザーにとって心強いですね。では最後に、アフィリエイトSOGO.COMの読者に向けてメッセージをお願い致します。
小澤: これからヤフーリスティング広告をご利用されるお客様、すでにご利用いただいているお客様、どちらのお客様にとってもご参考にして頂ける公式ラーニングポータルをご用意させて頂いております。また、WEBにアクセスする時間がない場合や、オフラインでしっかり勉強したいという方向けに、セミナーを東京ミッドタウンで毎月無料で開催していますので、是非機会がありましたらこちらもご参加いただければと思います。
このセミナーは初めてサービスを利用される方向けなので、サービス自体の説明や申し込み方法、上手くサービスを使用していくためのヒントなどをご紹介しています。東京が多いですが、ここ最近は大阪でも新規のお客様向けに開催しています。あとはオンラインでも同じ内容で、ほぼ毎月開催しております。是非参加いただければと思います。
K: ---メッセージありがとうございました。本日はお忙しい中、インタビューにご協力頂き誠にありがとうございました。
小澤: こちらこそありがとうございました。
今回のYahoo!リスティング広告インタビューは「収入を得るサービス」ではなく「集客のためにコストを使うサービス」であるため、個人アフィリエイターの方よりも、どちらかと言えば広告主としてアフィリエイト業界に携わられている方々、もしくは個人事業や法人サイトを運営される媒体担当者の方向けの内容かと思います。
当サイト「アフィリエイトSOGO.COM」で2010年3月から5月にかけて実施させて頂きました『第4回アフィリエイトアンケート』の集計を見てみると、アフィリエイターの14%がリスティング広告(PPC)を利用して集客を図っているという結果になっており、そのうちアフィリエイト収入が月額30万円を超える層だと、この比率は57%にまで達しています。
アフィリエイト業界においてアフィリエイトサイト運営者がリスティング広告(PPC)を出稿するのは原則禁止されていますが、広告主と良好な関係を構築し、許可されているキーワードをリスティング広告に出稿し、良質なコンテンツに誘導するという方法はビジネスとしてアフィリエイトに取り組まれている方々にとって重要な要素になっているようです。
価値ある媒体に見込顧客を誘導できるのがリスティング広告の強みです。アフィリエイト収入だけを目的としたペラサイトやスパムブログにユーザーを誘導する行為は、アフィリエイト業界はもちろん、ネット社会からも嫌悪される行為です。アフィリエイターの方でリスティング広告を利用されている方は、ぜひユーザー視点に立ち、訪問して下さった方に付加価値を提供できるようなサイト運営を心掛けてください。
ちなみに、当ページではすべて直リンクにしていますが、Yahoo!リスティング広告はValueCommerce(バリューコマース)に広告主としても参加されています。サイトやブログを持たれている方でYahoo!リスティング広告を利用されている方は、体験談コンテンツを掲載されてみるのも良いかもしれません。