アフィリエイト・プログラムを導入しているECサイトの中には、アフィリエイトサイトのアクセス数に執着しすぎているところを見かけます。アフィリエイトサイトのアクセス数を提携基準の1つにするのは分からないでもないのですが、それだけに固執しすぎてしまうとアフィリエイト・ビジネスを伸ばす事にはなかなか繋げられないという問題もあります。
アクセス数というのは、サイトを審査する時の指標の1つにはなっても、唯一絶対の指標にはなりえないということをEC担当者は理解しなくてはなりません。アクセス数は過去と現在のサイト内容によって生み出されるものであり、将来の可能性までは教えてはくれません。出来立てのサイトで今後伸びる可能性がある所でも、現時点のアクセス数が少ないからと言う理由で提携を拒否してしまうのはあまりに早計です。
また、数字の抱える問題として、ほとんど自己申告制となっているという点があげられます。本当は1日100人が集まるサイトなのに、サイトオーナーの心次第で1日5000人と嘘の情報を登録することもできるのです。さらに言えば、アクセス数をページビュー式か、それともIP制限式かといった取得方法によっても、その意味するところはサイトごとに大きく異なってきます。
サイトオーナーが自由に登録できて、その真偽を確かめる手段に乏しく、また提携してもその数字分だけの広告露出が望める保証はどこにもない。にも関わらず、ECサイトの多くはアクセス数を重要視してしまう傾向にあります。1日1万アクセスのサイトに、他者の数十種類の広告と一緒に掲載されるよりも、1日100アクセスのサイトに、特集ページをしっかりと作ってもらう方がよっぽど効果が望めるという事実を忘れてはいけません。
高いアクセス数を誇るサイトと提携しても、そのサイトに自社の広告を掲載してもらえる保証はどこにもないのです。逆に多くの来訪者を集める有名サイトほど、特定ECサイトの広告を長期にわたって掲載する率というのは低いのが現実です。とくにコンテンツにうまくからめたアフィリエイト掲載ではなく、バナータイプのアフィリエイト広告を掲載される場合は、アクセス数の高いサイトの方が掲載してもらいにくく、簡単に外されてしまうと言うリスクがあります。
ECサイトでアフィリエイト・プログラムを運用する人間は、このアクセス数での審査というのを極力避けるべきなのです。数字の部分は、社内でのプレゼンテーションにでも使えれば十分なのであって、アフィリエイト提携するかどうかの部分は、やはり実際にEC担当者がその目で見極めなければならない分野だと思います。
アクセス数という数字をまったく見る必要はないというわけではありません。数字は多くの事を教えてくれます。しかし、逆もまたしかりで、数字では分からない事も多々存在するのです。とくに、そのサイトがもつ『可能性』の部分は、アクセス数からは計り知る事はできないのです。
ECサイトのアフィリエイト・プランナーは、アフィリエイト・ビジネスを伸ばしていくと言う重要な役割があります。そのためには、数字だけにとらわれるのではなく、提携をするサイトの将来性をもしっかりと見極める必要があるのです。間違っても、アクセス数だけで審査の基準を設定し、提携希望のサイトを見る事も無く切り捨てるといった行動はとられませんように。
【VOL.06】 -基本- スタート前のSEO |
執筆者: KASAI
掲載日: 2006年10月