アフィリエイターとして注意しなければならないケースの1つに、「商標ワードのSEM使用」があります。どういうことかというと、広告主の企業名や商品名などを使ってSEM(Search Engine Marketing)を実施する、つまり検索エンジンからの集客に注力する行為です。なぜ「商標ワードのSEM使用」にアフィリエイター側は注意しなければならないのか、その理由を見ていきましょう。
SEM使用という観点から見た場合、大きく分けて「良い方法」と「悪い方法」の2通りがあります。オリジナリティの高い優れたコンテンツを持っていることで、必然的に検索結果の上位に表示されユーザー獲得につながるのならばこれはECサイトにとってもプラスですので、「良い方法」の部類に入ります。反対にコンテンツではなく裏ワザや投資を優先させ、時にはスパム行為も使い何とかして商標ワードで検索エンジンからのアクセスを稼ごうとするアフィリエイトサイト、こちらは「悪い方法」になってしまいます。
アフィリエイトでの売り上げには、アフィリエイト経由だから売れるものと、アフィリエイト経由でなくても売れるものの2種類があります。例えば、「KASAIコンピューター」が激安パソコン「MAIKU」シリーズを発売していたとしましょう。アフィリエイトサイトによっては、オリジナリティのあるコンテンツではなく、この「KASAIコンピューター」と「MAIKU」の2つの単語のみでSEMをかけてくるケースもあります。OvertureやGoogleAdSenseに広告を出したり、単語を必要以上にページに掲載したり、スパムページを多数立ち上げてアクセスを稼ごうとしたり、その方法は様々です。
こうした企業名や商品名のみでSEMを行いアクセス数を稼いでいるサイトからのアフィリエイト売上は、多くの場合純粋な意味での「アフィリエイトによる売上」にならないのです。なぜなら、ユーザーの多くにしてみれば訪れたい企業も、興味のある商品もすでに決まっているわけで、アフィリエイトサイト経由で無くとも目的地、そして目的の商品を購入する可能性が高いからです。アフィリエイトで無くても上がる売上が、アフィリエイトサイト経由であるがために広告主はコミッションを支払ってしまっているのです。
このアフィリエイトサイトによるSEMの問題というのは根が深く、ECサイト側による対応方法も1つではないため1コラムで書ききれる内容ではありません。ここでアフィリエイターにお伝えさせていただきたい事、それは過剰なSEMを実施して何がなんでもアフィリエイト報酬を得てやろうと考えるサイトは、将来必ず手痛いしっぺ返しをくらうことになるという事です。現在でも既にこうした商標ワードのSEM使用を禁止し始めているECサイトが多数出てきていますので、業界的に何らかのルールが制定されるのもそう遠い話ではないのかもしれません。
アフィリエイトはアクションが上がるごとにコミッションが発生するビジネスモデルです。だからこそ、アフィリエイターは善であれ悪であれ、ユーザー数、そしてアクション数を増やすための手法を色々と考えます。SEMの実施はアフィリエイターが選択する当然の手法ですが、その手法にも一定のルールは必要なのです。アフィリエイターである限り、いかにしてECサイトとWIN-WINのリレーションシップを築けるかを常に念頭に置く必要があり、間違っても自分だけの売上アップを目指し何でもありのアクションをとってはならないのです。
【VOL.19】 -注意- 自由リンク素材の使用 |
執筆者: KASAI
掲載日: 2006年10月